RISE Fishing Report

巨大魚を求めて in 小笠原

小笠原 ビックフィッシュ釣りまくり隊

2000年11月23〜28日

対象魚:カンパチ
場所:東京都小笠原諸島・父島
釣果:★★★★☆

巨大魚の宝庫、小笠原列島。ルアーアングラーだけでなく、巨大魚を追い求めるアングラーの憧れのフィールドではないだろうか。交通手段は小笠原丸だけ。何と片道25時間の海外より遠い東京都である。

だが、そんな小笠原に魅せられたアングラーはこんな苦労も何のその。一度でも小笠原を経験してしまうと、その魅力に取り憑かれ、リピーターとなり通ってしまうらしい。今年の正月も RISE メンバーが渡り、荒天にもかかわらず40kg近いカンパチを筆頭に、小笠原の凄さを肌で感じて帰ってきた。

それから数カ月後、八丈島で行われたジギング大会の帰りの船の中、ひょんな事から今回の小笠原釣行が決まった。それではと、その場に居合わせた釣りビジョンも巻き込み、「小笠原 ビックフィッシュ釣りまくり隊」の結成である。

参加者は、正月に渡り二尾目のドデカカンパチを狙った杉山隊長と遠藤師匠、そしてビッグフィッシュゲッター三堀さん。今回のコーディネーター兼、ガイド役の横島さんにまんまと騙され、岐阜県から遠路はるばる参加の青木さん、そして、私の計6名。

巨大魚列島の小笠原、目標は30キロオーバーと大きい。このサイズを取らなければ小笠原まで来た意味がないとみんなで思っていた。さあ、どのようなドラマが待っているのか、乞う御期待!

11/23

小笠原と竹芝桟橋を結ぶ唯一の交通手段、小笠原丸に乗り込み25時間の船旅がスタート。『この時間、どう過ごせばいいのだろう』と心配だったが、釣り談義に花が咲き、そんな心配もどこへやら。小笠原丸の船内を案内してもらったり、途中放映される映画を見たりと、思っていた以上に時間潰しが出来た。

ゴロリと寝転べば勝手に瞼が重くなる。グラリと船体が傾くと目がさめる。さすがに小笠原まで向かうとなると、波も大きいなと思っていたら「今日は荒れてるなぁ」という声がどこからともなく聞こえてくる。いやな予感、、、。

天候不順のため3時間の遅れがあったが、ケータ列島が見え始めると間もなく目的地の小笠原父島二見港へ到着した。港には今回お世話になる仰天丸の登地船長が迎えに来てくれ、荷物を宿へ預け、早速出船の準備。さすがに常夏の小笠原。竹芝を出る時はトレーナーを着ていても寒い位だったのに、半袖、短パンでも汗が止まらない。夏へ逆戻りといった感じだ。

夕方まで時間がないので、ウォーミングアップがてら近場を攻めることに。港を出ると、ドドーンとしたウネリが次々と襲ってくる。30分ほど走ったところで、小笠原初のゲームスタート。

水深80mラインへとジグを送り込み、ジギング開始。だが、このポイントでは二枚潮のおかげで思ったようにジグを動かせずに、即移動。魚探とにらめっこしていた船長から、「いいよ!」の合図。

カンパチ

すると。誰よりも先に落とした、遠藤師匠のロッドが絞り込まれた。上がってきたのは、6キロクラスのカンパチ。その後辺りが暗くなってきたので、本日のウォーミングアップは終了。明日からの本番に備えて、宿でゆっくりすることに。

なんて事をこのメンバーがする訳もなく、夕食を食べるとエギングタックルを片手に、通称青灯台へ。すでに地元のアングラーが入っている。小笠原流エギングは真下に餌木を垂らして、上下に動かしているだけ。サビキでもやっているのかと思ったくらいだ。所変われば、釣り方変わる?

移動をくり返していると、300gサイズがヒット。その周りには群れでいるからということで、ヒットしたあたりにキャストして、袋にイカをしまっていた。そして、ロッドを持つと、グングン。なんとほっとけで乗ってしまった。

これを見ていたみんなは、途端にシャクっていたロッドを地面に置いてしまった。たまたまだよ、と言い終わらないうちに、これがバカ当たり。次から次へと連続ヒット。意外なテクニックにみんな爆笑。あまりに騒ぎ過ぎて小笠原の神様が怒ったのか、先程まで星が出ていた空から大粒の雨がザーザー。即、撤収となった。

二日目

天候は前日よりも波が高く、島影から出ることが出来ない程。もちろん、こんな日は地元の漁師さんはお休み。だが、私達には時間がない。昼過ぎ、海が治るのを待って父島の東沖へ。

でも、普段の3倍以上の時間をかけてポイントに到着。まさに、大波に揺れる木の葉状態でジギングをするにはしんどい。でも、反応はバッチリ出ている。ジグを落とし一投目、バウで頑張っていた横島さんにヒット。と同時に私にヒット、そして、後ろの遠藤師匠にもヒット。

だが、この波である、思ったようなファイトが出来ずに厳しい状況だ。なんとかあがってきたのは8キロ前後。うーん、小笠原サイズとしてはチョイと不満のサイズだが、まだこれから。でも、海況の悪化で島陰のシャローに逃げ込むが無反応。本日も日が暮れてゲームセット。

三日目

前日よりは穏やかになったとは言うもの、それでも普段と比べたら荒れてます。人間、慣れとは恐ろしいとつくづく感じました。ハイ。

前日に断念した孫島の北沖のポイントへ。静かになったとはいえ、やはりウネリが残りジグが思うように動かせない。反応を見てポイントを探す。OKサインが出たところでジギングスタート。テンポ良くジグをシャクリ上げてくると、杉山隊長、遠藤師匠、そしてジギング始めてで小笠原に来てしまった青木さんのトリプルヒット。

18キロのカンパチ

ヤンヤ、ヤンヤのファイト。隊長、師匠は慣れてるだけあり、あっという間にランディング。サイズはやはり10キロ前後。隊長に「早くあげろよー、俺なんか後にヒットしてもう上げちゃったぞ」と冷やかされている。しんどー、という顔をしながらも姿がうっすらと見えてきた。

「アレ? もう一本、ヒットしているサイズよりデカイのが付いてきているぞ」

「シャークだ!」

もう、ファイトなんかそっちのけでリーダーを手繰り寄せ、間一髪で無事ランディング成功。それも今回の最大魚である18キロ。やはり無欲の勝利だろうか。

その後、私と三堀さんもゲットするがサイズが伸びない。小笠原サイズは何処へ行ったのだろう。もう時間がない、残すは明日の小笠原丸が出港するまでの数時間。

最終日

時間がないので早めに船を出すが、前夜から吹く風で波の高さは逆戻り。南沖を諦め東沖へ向かうが、今までで一番の荒れよう。来てみたがジギングが出来る状態ではない。シャローのポイントを何ケ所か回り、今回の「小笠原 ビックフィッシュ釣りまくり隊」の幕は降りた。

あー、目標の30キロオーバーは何処へ行ってしまったんだー。小笠原は、もう終わってしまったのだろうか。原因として、普段11月だとトレーナーがなければ寒いくらいなのに、今年は半袖、短パンで過ごせるくらい暖かい。その影響か、例年に比べ水温も3〜4℃高いらしく、まだ大型魚が姿を現わしていないらしい。(道で会った漁師が口々に言っていた)

まあ、今回は、こんな結果に終わってしまったが、次回こそはリベンジマッチで、また機会があったら是非訪れてみたい、小笠原。あっ、気付いてみると俺もすっかり小笠原病の感染者になってしまった。